経理の自動化は進むのか?
経理の自動化は進むのか?
定型的な作業を自動化し、業務の時短や人件費の削減などに活用する企業が急速に増えており、その背景にはここ数年で急速に普及しているRPA(Robotic Process Automation)が関係しています。ここでは経理業務と相性が良いとされているRPAについて解説し、経理業務は自動化へと進むのかという点について考えていきたいと思います。
経理の仕事が自動化に向いている理由
経理業務が自動化に向いていると言われる理由は、次のような特徴だからだと言われています。
- 常に正確に、ミスなく行わなければならない
- 締切期日があり、スピーディーさが求められる
- 単純な数値の入力などの反復的定型作業が多い
このような特徴があるため、「経理業務は自動化に適している」と言われていて、国外を中心に国内でも本格的にIT化の波が来ているのです。
経理業務を自動化するメリット
経理業務を自動化するメリットには、いったいどのようなことがあるのでしょうか。ひとつは経理業務に関わる人数を減らすことができます。単純に人件費を減らせるのはもちろんですが、経理業務という専門的な業務に携わる人材を育てる経費も削減。生産性の高い部門に人手を回したり、力を注いでいきたい部門に人を増やすことなどが可能になります。
単純作業の多い経理業務では、人間が行うことによってチェック漏れ・記載ミス・重複作業などがつきものです。「人はミスをしてしまうもの」として作られたチェックシステムで、何重にもチェックを行わなくてはならず、時間がかかるうえに業務が遅れてしまいそうになる。そして焦ってしまい更なるミスを誘発してしまう…というような負のスパイラルが起こっている会社は少なくないと思います。
自動化することでヒューマンエラーを排除できるため、わずらわしいチェックシステムを省略してスピードアップができますし、さらに業務品質と業務精度が向上することになります。
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経理を自動化させるRPA
RPA(Robotic Process Automation)とは
RPAは「ソフトウェアロボット」で、決められた業務を自動で行うためのツールです。AIと誤解されることがありますが、データの解析や蓄積をするものではありません。ロボットがすべて自動で業務を行うわけではないため、作業内容の変更には、人が仕様変更をする必要があります。
実際に、導入している大手企業も多くあります。例えば、本部経理部門の交通費精算作業、取引明細の会計システム入力作業などを自動化した会社の導入事例では、全国の社員が申請した交通費精算をチェックしたり、取引明細を会計システムへ入力する際の金融機関との照合作業を全自動化しています。両作業の月間工数を、約90%削減する効果を得られたそうです。
このように、経理担当者の業務時間の短縮やコストカットに大きく貢献しているという事例があり業務負担の軽減が報告されています。
RPA導入によって可能になる経理の業務例
RPA導入によって可能になる経理の業務例には以下のような業務があります。
- 領収書のチェックと支払い処理
- 経費の精算
- 請求書の作成
- 取引明細書の作成
- 給与明細書の発行
- 取引仕訳業務…など
経理業務にRPAを導入すると、このような経理業務の代表的ともいえる作業の自動化が可能です。従来は経理担当者が複数で処理していた定型作業をRPAが代替するため、業務効率が向上し経理担当者の労働時間を大幅に短縮。そのうえ、ミスなくスピーディーに行えるため、、人によるヒューマンエラーが起こらないメリットがあります。
経理代行サービスといっても代行会社によって対応範囲は様々です。自社対応と経理代行サービスのどちらがコストメリットやリスク管理につながるかを比較しながら、サービスの利用を検討してみるのをおすすめします。
ここでは、おすすめの経理代行会社の経理業務のサポート範囲を比較しているので、依頼を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
経理でRPAを活用するポイント
業務を可視化させる
経理でRPAを上手く活用するためには、「どの作業をRPAで自動化すべきか」「どこまで自動化できるのか」を明確にすることが大切です。そのために、まずは業務フローを可視化しましょう。
今行っている業務内容を細かく洗い出し、作業手順を一つずつ書き出します。手間のかかる作業ですが、誰が見てもその作業を行えるくらい細かく書き出すことがポイント。作業手順をひとつひとつ書き出したところで、RPAに任せるべき作業を決定しましょう。
また、業務フローを可視化することで、改善すべき点が見つかるといったメリットも得られるかもしれません。
定型業務から自動化させる
「RPAを導入して、失敗しないだろうか」と不安な方も多いはず。そこで、定型業務の自動化から始めてみましょう。小さな規模の定型業務でRPAを試してみることで、失敗してもリスクを抑えることができます。経理部門では小さなミスでも大きなトラブルへとつながる可能性があるため、いきなり大規模な業務にRPAを試すのはおすすめできません。
小さな規模の定型業務からRPAを試せば、運用のための知識が身につきます。これから運用するにあたっての課題も理解できるでしょう。
また、RPAにはさまざまな種類があります。スモールスタートで試していけば、自社に合ったツールがどれなのか確認しやすくなります。
サポートを活用する
RPAの導入直後は、慣れないことからエラーが発生しがちです。プログラミングスキルやIT知識がなくても運用できるRPAツールはたくさん登場していますが、エラーの対処方法に悩んでしまうこともあるでしょう。
もしも経理部門の担当者だけでエラーに対処した場合、原因がなかなか究明できなかったり、復旧に時間がかかってしまう可能性があります。さらに、別のエラーが発生する恐れもあります。
そのため、RPAツール選びでは、価格や機能、使いやすさだけではなく、ベンダーのサポート内容も重視しましょう。サポートが充実しているベンダーなら、エラー発生時にも迅速に対処してくれます。導入時にRPA担当者への講習を行ってくれる・企業ごとに専任の担当者を用意してくれるといったベンダーがおすすめです。
システムを扱える人材を育成する
スムーズな運用のためには、RPAのシステムを扱える人材を育成することが大切です。いくらベンダーのサポート内容が充実していても、RPAを最大限に活用するためにはRPAに詳しい自社社員が必要。スムーズな運用に加えて、より効果的な活用方法の検討を行えます。また、経理部門にとどまらず、社内全体でRPAを活用することもできるでしょう。
なお、自社内でRPAに詳しい人材を育成するためには、ベンダーのサポートが必要です。RPAに関するセミナーや勉強方法の指導などを行っているベンダーもありますので、ぜひ活用しましょう。
もしもベンダーから十分なサポートを受けられない場合は、RPA人材を派遣してくれるサービスを利用するのもおすすめです。導入後しばらくの期間はRPA人材を派遣してもらい、その間に自社社員が知識やスキルを習得します。
経理業務の将来の展望
働き方改革の影響もあり、作業効率改善のためにRPAを導入する動きは国内外を問わずに広まっています。では、RPAが導入されると経理という部署はどうなっていくのでしょうか。
経理業務の自動化が進むと経理は淘汰されるのか?
RPAが得意とするのは取引を正確に処理し記帳する、月次等の定期報告資料や四半期・年度ごとの外部報告資料を正確に作成するといった、人間の判断を必要としない定型作業です。経理業務はこういった定型業務が多くを占めています。しかし、経理の業務はこのような単純なルーティン作業だけにとどまりません。経営の現状を分析し、経営判断に必要な会計資料を作成すること、イレギュラーな状況への柔軟な対応などはRPAでは対応できません。将来的に自動化が進んでいったとしても、人間の介入が不可欠になります。
将来的にRPAを導入しスムーズに運用していくためには、準備と管理が必要。経理業務の洗い出しから、どの業務をRPAに振り分けるかという作業はまず人が行います。日々の業務に追われながら、RPAの準備を行うのは大変です。経理担当者の負担が増えてしまって、躓いてしまうことも多いようです。RPA導入後も決まったことばかりではなく、イレギュラーな処理を行わなくてはいけなかったり、事業が拡大するに伴って、作業内容変更も出てきます。そういったことに対応が難しい場合は、一時的に経理代行業者の利用を検討してみるのもよいかもしれません。経理代行業者に依頼をし、経理業務の負担を増やさずに、スムーズに自動化へと移行させていくというのも一つの方法でしょう。
経理代行といっても代行会社によって対応範囲は様々です。
ここでは、多岐にわたる経理業務の対応・サポートができる経理代行会社3社をピックアップ。各社の対応可能範囲をまとめました。
お困り事や時期・ニーズ
によって短期~中長期
までカバーできる
経理の特命レスキュー隊
引用元:経理の特命レスキュー隊株式会社公式HP
(https://www.accounting-rescue.com/)
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最小限のサポート
を受けるなら
経理外注・記帳代行センター
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TOKYO経理サポート
引用元:TOKYO経理サポート公式HP
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