端数処理で変わる消費税の取り扱いについて
消費税の取り扱いについて
2021年現在、消費税率は10%と軽減税率の8%の2種類です。同時に複数の税率が存在するため、煩雑になりがちな消費税の端数処理。なんとなく処理していませんか?
現時点での消費税に関する端数処理の方法と、2023年(令和5年)10月から導入されるインボイス制度導入後の端数処理についてまとめました。
端数処理の方法は選択できる
消費税の端数処理の方法は「切り上げ」「切り捨て」「四捨五入」の3種類があります。財務省の取り決めでは、納税する企業単位で方法が統一されていれば、どの方法でも良いとしています。
端数が出た場合「仮払い消費税」や「仮受消費税(預かり消費税)」といった決められた項目を使って調整する必要があるので、注意しましょう。
インボイス制度導入後の消費税の計算
インボイス制度が導入される2023年10月1日以降は、2種類の計算方式から、どちらか1つを選択します。
1.適格請求書に記載された消費税額を積み上げる「積上げ計算」
適格請求書に記載した消費税額等の合計に7.8/100を掛けて消費税額を算出する方法です。売上税額も仕入税額も同じ方法で計算できます。
売上税額の算出で税額積上げ計算を選択できるのは、適格請求書発行事業者として事前に届け出た業者のみです。またこの方法では、仕入税額の算出は原則積み上げ計算しか選択できません。
2.各適用税率で取引総額を割り戻す「割戻し計算」
税率ごとに区分して算出した課税標準額を、割戻して計算する方法です。
売上税額の割戻し計算:課税標準額に7.8/100(軽減税率の場合は6.24/100)を掛けます。
仕入税額の算出は、積み上げ計算か割戻し計算のいずれかを選択可能です。
仕入税額の積上げ計算:適格請求書に記載した消費税額等の合計に7.8/100を掛けて消費税額を計算します。
仕入税額の割戻し計算:税率ごとに区分した課税仕入れに関わる支払い対価の合計額に7.8/110(軽減税率の場合6.24/108)を掛ける方法です。
現在は「割戻し計算」が主流ですが、インボイス制度が導入された後は「積上げ計算」が基本となります。
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消費税の端数処理のコツ
端数は切り捨てが基本
消費税の端数処理には「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」がありますが、端数は「切り捨て」を選択することが基本です。これは納める消費税額を少なくするためであり、売上の計算で生じた端数に関しても同様です。
ただし、インボイス制度施行前は課税売上額と課税仕入額を税率ごとに合算して消費税率を乗じて売上・仕入の消費税額を計算する「割戻し計算」が原則だったため切り捨てが得になることがありましたが、インボイス制度の開始後は切り捨て・切り上げ・四捨五入のどの方法でも消費税額は同じになりました。
仕入税額の計算方法は、請求書に記載されている消費税額をすべて足していく「積上げ計算」を選択することが原則となったからです。
社内で対応を統一する
消費税の端数処理を行う際は、社内ルールを統一する必要があります。現状、端数処理方法に決まりはありません。しかし、担当者によって処理の方法が異なると販売先が混乱することになりトラブルの元になる可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、社内において端数処理の基準やルールを決めておきましょう。請求書発行システムなどを導入するなどして端数処理を自動化できるようにすれば、簡単に端数処理方法を統一することが可能です。
販売先とルールを統一
消費税の端数処理方法は、販売先ともルールを統一しておくとよいでしょう。一般的に切り捨て処理を行うことが多いですが、販売先も同様に切り捨てを採用しているとは限りません。確認せず取引を進めてしまうと金額が合わなくなってくる可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。
インボイス制度では、端数処理の回数は税率ごとに1回ずつと定められています。販売先と消費税の端数処理について認識を合わせておけば、消費税額は一致するはずです。
販売先と端数処理の対応が異なる場合は?
一括請求の場合の対応
消費税の端数処理方法が販売先と異なる場合、適切に対応することが大切です。一括請求の場合、請求書の消費税額は税率ごとの売上の税抜価額、または税込価額の総額に消費税率を乗じて算出します。
販売先との間で端数処理方法が異なると消費税額に差が生じやすくなり、支払額が一致しないなどのトラブルが発生するかもしれません。請求書を作成する際には、税抜金額・消費税額・税込金額がすべて合っているかを確認することが大切です。
都度請求の対応
都度請求とは商品やサービスの提供のタイミングで、都度請求書を発行する方法です。都度請求で販売先と端数処理の対応が異なると、受領した注文書に記載されている税抜金額が複数回作成した請求書の税抜金額の合計と合わなくなる可能性があります。
このようなケースでは、最後の請求書を作成する際に累計の税抜金額を計算して発注書の税抜金額と一致しているか確認しましょう。金額が一致しない場合、消費税の端数調整が必要です。
自社の会計ソフトをチェックしてみよう
経理担当者を悩ませる消費税の端数処理。消費税の端数処理は、どの方法を選択するかで金額が変わってきます。
売上金額の誤差が続く場合は、自社と取引先の端数処理方法が違う可能性があるので、会計ソフトの設定を確認して、早い内に対応しましょう。
経理代行といっても代行会社によって対応範囲は様々です。
ここでは、多岐にわたる経理業務の対応・サポートができる経理代行会社3社をピックアップ。各社の対応可能範囲をまとめました。
経理業務を丸投げ
月5万円~依頼できる
経理の特命レスキュー隊

引用元:経理の特命レスキュー隊株式会社公式HP
(https://www.accounting-rescue.com/)
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記帳代行だけでも依頼できる
経理外注・記帳代行センター

引用元:経理外注・記帳代行センター公式HP(https://www.tokyo-keiri.com/)
記帳代行や年末調整代行、給与計算代行のみなど、スポットで依頼できるのが特徴。
経理業務フローを改善
体制から見直してくれる
TOKYO経理サポート

引用元:TOKYO経理サポート公式HP
(https://anshin-keiri.eiwa-gr.jp/)
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