給与計算のポイント
給与計算の重要性
入社の際は、企業と従業員の間で「労働に対して給与(報酬)を支払う」という労働契約を結びます。給与計算業務は「期日までに」「正確な」支払いが前提で、理由のない支払いの遅れや金額の不足、振込先のミスなどがあってはなりません。
月々の給与計算について、必要な資料や計算方法、注意すべきポイントなどについてまとめました。
給与計算業務で注意するべきポイント
初めて給与計算を行う前に、まずはどのような業務内容なのかを知る必要があります。
関連する法律や支払いに必要な手続き、時期によって発生する業務について確認しましょう。
1.法律で決められた給与支払いのルール
労働基準法第24条で「賃金支払い5原則」という給与支払いのためのルールが定められています。
賃金支払い5原則
- 通貨による支払い
- 本人に直接支払う
- 全額払う
- 支払いは毎月1回以上とする
- 期日を設定する
2.給与支払いに必要な手続き
給与を支給する前に、会社は従業員一人ひとりの税金(所得税の源泉徴収・住民税の特別徴収)や社会保険料の金額を算出。給与の総支給額から控除してまとめて納付する、代行手続きを行う義務があります。
3.月額の給与支払い以外にも給与に関連する手続きが必要
給与計算には、毎月の給与以外にも1年に数回、行政機関へ届出をする業務があります。
月 | 手続き内容 | 提出先 |
---|---|---|
1月 | 給与支払報告書
給与所得の源泉徴収票の提出 |
市町村
従業員と税務署 |
4月 | 人事異動や新入社員の入社などによる人事関連情報の登録・更新 | 会社に保管 |
6月 | 住民税特別徴収額の改訂業務・特別徴収した住民税(12~5月分)の納付 | 市町村 |
7月 | 労働保険年度更新申告
健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届の提出・夏季賞与の報告 |
都道府県労働局
年金機構 |
12月 | 特別徴収した住民税(6月分~11月分)の納付
冬季賞与の報告 給与所得者の扶養控除等(異動)の申告 |
市町村
年金機構 税務署 |
そのほかにも、社員の入社時・退職時の社会保険手続きや給与の日割り計算、退職金の計算などが必要になることがあります。
経理代行サービスといっても代行会社によって対応範囲は様々です。自社対応と経理代行サービスのどちらがコストメリットやリスク管理につながるかを比較しながら、サービスの利用を検討してみるのをおすすめします。
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給与計算業務の準備
給与計算をする前に、必要な資料と手順をみてみましょう。
1.「就業規則」と「給与規定」を作成
「就業規則」は、従業員の勤務に関するルールや労働条件を定めた規則で、従業員が10人以上いる事業所では作成・届出る義務があります。
給与計算のもととなる「給与規定」も確認しましょう。
2.社会保険の加入状況の確認
従業員が加入する社会保険は5種類あります。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 個人情報漏洩のリスク
- 計算ミスによる労務・税務的なリスク
- 給与計算の人件費をコストダウンできる
- 複雑な法改正にも即対応できる
- 給与計算に割かれていた人員が他の業務に集中できる
従業員全員の社会保険の加入状況と、給与から控除される金額を確認しましょう。
3.従業員の個人情報の把握
給与の内訳は、基本給や役職給に加えて残業手当、通勤手当、住宅手当などが含まれます。さまざまな手当が加算されており、一人ひとり内容が異なるでしょう。
役職の変更、勤務地の変更や転勤などがあると、手当の金額も変わります。従業員一人ひとりの最新情報を確認して、遅延なく更新しなければなりません。
給与計算業務の流れ
給与計算はさまざまな計算式から算出されます。基本的な式としては、以下の通りです。
支給額-控除額=差引支給額
給与計算の流れを確認していきましょう。
1.支給額を計算
支給する額(固定給与と変動給与)を計算します。
固定給与は基本給・能力給・役職給・家族手当・住宅手当などが含まれます。変動給与は残業手当・営業手当・休日出勤手当などです。
2.社会保険料の控除額を計算する
4種類の社会保険料を控除します。
雇用保険料(月支給額合計×保険料率)
厚生労働省の雇用保険料率表を参照して計算を行います。
健康保険料(標準報酬月額×保険料率)
全国健康保険協会による都道府県ごとの保険料額表から算出します。
介護保険料(標準報酬月額×保険料率)
40歳以上から65歳未満の従業員に適用。全国健康保険協会の都道府県ごとの保険料額表から算出されます。
厚生年金保険料(標準報酬月額×保険料率)
日本年金機構の保険料額表を参照して計算します。
労災保険の保険料は事業所が全額負担するため、従業員の給与から差し引く必要はありません。
3.所得税・住民税を控除
所得税と住民税は、会社が給与から差し引いて徴収します。従業員の代わりに税務署に納付する「源泉徴収」方式です。
所得税の計算方法は「給与所得の源泉徴収税額表」を元に計算。住民税は市町村から通知された金額を控除します。
4.その他の控除を計算
企業によっては、税金や社会保険料の控除のほかに、財形貯蓄・退職金積立・労働組合費などを控除する場合があります。
給与計算業務のリスク
給与計算業務には2種類のリスクがあります。
給与計算業務においては、ひとたびミスが起きると膨大な修正作業や損害賠償、刑事罰などのペナルティが発生します。
リスクを避けるために
給与計算代行会社に委託する
給与計算業務は人事関係の部署が兼任することも多いかもしれません。給与計算業務をアウトソーシングして、業務負担を減らすという選択肢があります。
給与計算代行会社に委託するメリット
経理代行会社に外注することで、経理業務の業務効率化はもちろん、経理ミスや人材不足といったリスクヘッジもできるでしょう。
「働き方改革」の推進により、今後労務に関する法律は複雑化することが予想されます。先を見据えた経営判断の一つとして、給与計算を外注(アウトソーシング)する選択肢も検討してみてください。
経理代行といっても代行会社によって対応範囲は様々です。
ここでは、多岐にわたる経理業務の対応・サポートができる経理代行会社3社をピックアップ。各社の対応可能範囲をまとめました。
経理業務を丸投げ
月5万円~依頼できる
経理の特命レスキュー隊

引用元:経理の特命レスキュー隊株式会社公式HP
(https://www.accounting-rescue.com/)
税理士や日商簿記検定1級などの会計資格を持った隊員が、経理業務をまるっとサポート。
一部業務のみを代行
記帳代行だけでも依頼できる
経理外注・記帳代行センター

引用元:経理外注・記帳代行センター公式HP(https://www.tokyo-keiri.com/)
記帳代行や年末調整代行、給与計算代行のみなど、スポットで依頼できるのが特徴。
経理業務フローを改善
体制から見直してくれる
TOKYO経理サポート

引用元:TOKYO経理サポート公式HP
(https://anshin-keiri.eiwa-gr.jp/)
事業内容に沿った経理業務フローの改善提案といった、コンサルティングも行うのが強み。