一人経理のリスク対策について
たった一人で全ての経理業務を担当する「一人経理」。こちらでは、一人経理のメリット・デメリットについてまとめています。一人経理の課題や解決策についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
一人経理が担う業務とは?
従業員が数百人もいる規模の大きな会社では、給与や経費などの業務を各分野に分け、それぞれの業務を数名で分担して行っています。そのため、大企業の経理業務を担当する場合は、一つの分野における専門家としての知識やスキルが、求められるという側面があります。
一方、小規模な企業での一人経理は、幅広い業務を一人で担当するため、広範囲にわたる総合的な知識とスキルが求められるでしょう。
一人経理で行う業務は、「資産管理」「資金管理」「決算業務」の3つの範囲となります。これらの業務に加え、総務や労務の業務も兼任することもあります。
一人経理のメリット
一人経理のメリットには、経理業務を担当する社員側のメリットと経営者側のメリットがあります。担当者側のメリットといえば、広範囲の業務を経験できることに尽きるでしょう。一人経理のメリットを活用すれば、自身のスキルアップにつなげられます。
経理担当者側のメリット
自分の判断で業務を進められる
一人経理はすべての経理業務を担当するため、とにかく忙しい仕事ですが、そのぶんスケジュールを立てやすいという側面もあります。また、自分の考えで判断しながら仕事を進められるので、仕事にメリハリをつけやすいというメリットもあります。
幅広い分野の経験値が上がり転職にも有利
一人で業務をこなすうち必然的に仕事の処理能力もアップしていくでしょう。一人経理は経営幹部に近い立場で行う業務も多く存在します。経営戦略の会議に参加したり、経営管理やマーケティングなどに触れたりする機会も増えていくでしょう。そのような環境の中で経験を積んでいくことで、単なる経理部署の垣根を越え、貴重な知識とスキルが得られます。
さらに、銀行や税理士などの外部の専門家と関わる機会も多く、コミュニケーション能力や交渉力などのスキルアップも期待できるでしょう。また、一人経理の需要が高い中小企業へ転職する場合、一人経理の業務で得た経験とスキルは強い武器となるでしょう。
経営者側のメリット
人件費を抑えられる
経営者側のメリットは人件費が抑えられるという点です。実際、中小企業を中心に一人経理を選択している企業は、一定数存在します。事業の立ち上げ時期で経理部門に人手を多く割くわけにはいかない場合、一人経理は運営コストの削減に大きく貢献するといえるでしょう。
経理状況を把握しやすい
一人経理は「資産・資金管理・決算」まで、すべての経理業務を担当者一人で行うため、会社のお金の流れを把握する際には、その担当者一人に確認すれば済みます。そのため、時間的なコストも削減できるでしょう。
一人経理のデメリット
人件費の削減やゼネラリストとしてスキルアップできるといったメリットがある一方で、一人経理ならではの課題や悩みもあるでしょう。以下では一人経理のデメリットについて、経理担当者側と経営者側、双方の立場から考えます。
経理担当者側のデメリット
ミスを見逃しやすい
担当者が複数いる企業の場合は部署内でダブルチェックも可能ですが、たった一人で経理業務を行う一人経理の場合は自身でチェックを行うほかなく、ミスを見逃しやすい傾向にあります。
そのため、万が一ミスがあっても早期に発見できるよう社内でフォロー体制を整えることが重要です。マニュアルを作成してほかの部署と協力し、ダブルチェックを行うというのも一つの方法です。
相談する相手がいない
業務の進行中に問題が生じた場合や困った事態に陥った場合、一人経理では相談できる相手がいません。問題を解決するには、税務署や日本税務研究センターなどの専門機関に問い合わせたり、電話や面談で相談をしたりするようにしましょう。
また、社内でのフォロー体制のほか、税理士といった外部の関係者に相談するという方法もあります。
退職に時間がかかる
一人経理は会社のお金のすべてを管理する仕事であるため、急に会社を辞めたいと申し出ても、すぐには退職できないケースが多いようです。自分の代わりとなる人材が採用され、引き継ぎを行った後にようやく退職できる状態になるため、自分の転職活動がなかなか進められないこともあります。
経営者側のデメリット
大きなミスを見落としがち
経理担当者のデメリットは、経営者側にとっても大きなデメリットとなります。特に一人で業務を行うために、ミスを見逃すリスクは高くなるでしょう。
帳尻が合わない
ミスに気づかなければ、結果的にお金の計算が合わなくなります。その間違いを探す労力も、余計にかかることになります。
急な休みや退職に対応できない
経理担当者が体調を壊したり急に退職を申し出たりなど、急に何かあったときには代わりの担当者がいないため、経理業務は完全にストップしてしまいます。
組織がうまく機能しなくなる
会社のお金の管理を一人に任せるということは非常にリスクが高く、担当者がいなくなったりミスが起こったりした場合には、会社は機能不全を起こすでしょう。
一人経理のリスク対策
一人経理にはメリットもいくつかありますが、会社のお金の流れや管理を担うため、圧倒的にリスクが高くなります。
リスクを抑えるために人件費を割いて業務体制を組むか、やむを得ず一人体制を続ける場合は、経理の専門家が集まる「経理代行」を検討するのが良いでしょう。
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